□ビエッラの5月
突然ですが、アトリエの引っ越しをしました。ここはピエモンテ州のビエッラ、北イタリアです。ふとしたご縁で、しばらくこちらにアトリエを構えさせていただけることになりました。フィレンツェから車で418km離れたこの街は、高台にあるアルタ(上)とその下の平原バッサ(下)の2つの街に別れており、「フニコラーレ」と呼ばれるケーブル・カーで結ばれています。新しいアトリエはアルタと呼ばれる高台の旧市街ゾーン。近代的に栄えている下の街に比べて静かで緑も多く、様々な小鳥のさえずりやカッコウの鳴き声が空に響き、そして陽が暮れると美しい街の夜景が見られます。
そんなビエッラの街周辺。まずトスカーナ風景との大きな違いは、柔らかな丘の波がなく、真っ平らな地面に水田が広がっていること。そしてすうっと伸びる地平線の向こうには、アルプスの雪山が派手にそびえ立っています。オリーブと葡萄に麦畑、そして羊に囲まれていた今までの景色とは対照的。布地の生産で栄えた街だそうで、食べ物は一方、ポレンタとリゾットが有名です。早速季節もののアスパラガス・リゾットを試してみたのですがその美味しいこと…。
美しい庭にはリラやジャスミンを始め、ツツジや松そしてモミジのような日本的なものまで勢揃い。今は大判のツツジの花が満開です。花の付け根の部分からおしべとめしべを抜き取り、まるで小さなラッパのように口にくわえて蜜を吸った、幼いあの日々を思い出します。そして窓の外にはここでも猫がこんにちは。どこに行っても猫とはご縁があるようですね。
2009年5月7日 ピエモンテの山々をみつめながら…。高野倉さかえ