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クゥアランタ・チンクェの大地


 トスカーナの緑が太陽に眩しく輝いています。
乾燥したキャンティの大地は日本の夏よりはまだ過ごしやすいものの、今年はなぜか大量の蚊が繁殖していて、窓を開けるとあっという間に赤い虫さされあとがポツポツ。
そして蚊の襲撃から逃げるように車に乗ると、
舗装されていない田舎道はまるで小麦粉をまき散らしたように白い煙を立てて車を包みこみ、バックミラーに映る景色が霞んで見えないほど。
いつもノロノロ運転で後続車が背後でジリジリしているのに、この時だけは激しく車間距離を開けて遠ざかってゆく…。
不思議なものです(笑)。

 そんな中、水を求めてガルダ湖へ。
イタリアno.1の大きさを誇るガルダは、キャンティから車で北上約3時間。
ロンバルディア州、ヴェネト州そしてトレンティーノ・アルト・アディジェ州の3州にまたがり、
その独特な淡いターコイズ・ブルーの水の色と透明感が何とも言えず美しく、
今までもよく作品素材として湖沿いの街を登場させて参りましたが、訪れるのはいつでもシーズンオフ。
人っ子ひとりいない湖沿いの景色を眺めつつ制作準備をしていたものですが、夏真っ盛りの姿を見たのはこれが初めて。
大地のすべてを焼き尽くすような熱い太陽に湖水はさらに色味を増し、いつもとは違った新しい景色を発見したのはいいものの…それにしても暑い!
ちょっと散歩をしては室内に逃げ込みジェラート、水、ジェラート。そんな毎日でした。

 …とそこまでは良かったのですが、出来心で帰りにヴェネツィアにまで立ち寄ってしまい、石畳の路面の照り返しと人ごみにすっかりやられ、この夏2度目のダウン。
夏の観光地の恐ろしさをすっかり忘れており…参りました。

 そしてある日、車に乗り込むと温度計は…45℃を指している!
「マンマ・ミーア! クゥアランタチンクェ・グラディ(45度)?!」
その日はスーパーに行っても薬局に行っても、巷は気温の話題で持ち切りでした。今年の夏は厳しそうです。

2011年7月
燃えるような太陽に緑が香るキャンティ・アトリエより。
高野倉さかえ

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