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コンフェッティーの日曜日


肌を凍らせる冷たい風に吹かれ歩いていた不思議な6月が終わり、
カレンダーを1枚めくると、空は突然目を覚ましたような輝かしい青さ。
仕舞ってしまった冬物を再び掘り起こしつつ、暖を取っていた昨日とは別世界の空気がテラスから流れ入り、
太陽に暖められたハーブの香りがようやくアトリエを彩り始めました。
目を閉じるとそこには…ラベンダーとローズマリー。
大きく深呼吸すると、夏のかけらが太陽の香りと共に体内に運ばれてきます。
あぁ、今年もこの香りがやって来た…。
心が洗われるなんともいえない瞬間です。

 緑の中を歩くと、そこには体を解凍する木漏れ日。
不規則に並んだ石畳を超え、デコボコの未舗装小道を元気に歩くと、夏恒例の真っ白な土ぼこりに靴の色が変化してきます。
時折やって来る車もベビーパウダーでもかぶったように粉々で真っ白!
遠くから車が来るときも、林の向こうに粉ボコリがあがるのですぐわかります。

 そんな7月。
日曜日には去年生まれた友人の赤ちゃんの待ちに待った洗礼の日がやって来ました。
場所はフィレンツェから50キロほど北に進んだ山の上の小さな村の教会。
無邪気に動き回る赤ちゃんに荘厳なはずの洗礼式は笑いに包まれ、感動も入り交じった空気は参列者の目尻をしっとりと涙で濡らしていました。
そして洗礼式が終わると、緑の野原でパーティ。テーブルにセットされたカゴの中には、可愛らしいリボンやレースで包装された砂糖菓子のコンフェッティが山盛り。
このお菓子、一説によると古代ローマ時代から食されているという話もあり、
結婚式や洗礼式などのお祝い事では必ず配られる、ちょっぴりキャンディーのようなイタリア伝統の砂糖菓子です。
中には大きなアーモンドが入っているため…ナッツアレルギーのある私は残念ながら食べられませんが。

2013年7月
高野倉さかえ

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