Sakae Takanokura

Home
Oil Paintings
Photography
Photolitho
Profile
Blog
Atelier


祖国の春の贈り物


「春の風は3日」
箱根に辿り着いた年に地元の方に聞いた言葉の通り、
3日間木々を揺らし続けた強風の後、今年もようやく元箱根にも春がやって来ました。

5月。
下界の街ではもうとっくに過ぎているはずの桜の季節。
でも標高800m超の山の上では、春の到着ものんびりゆったり。
ちょっぴり遅れての flower season 到来です。
ツヤツヤの濃緑にドラマチックな赤の椿や山茶花。
こぼれ種で、びっくりするような場所から新たにどんどん咲いてくる
ノースポールの白とちいさなビオラたち。
この場所で何十年もの時を見つめてきた大きなアセビの木々には、
まるでちいさなスズランのような花々が一斉につき始め、
蜜を求めて飛び回る、甘党のメジロたちで大賑わい。
草むらのフレッシュな緑には、ところどころ可憐なスミレが顔を見せ、
スノードロップや芝桜、
グーンと成長した桃の花つきも良く、
豆桜や垂れ桜の纏うやわらかな色彩に花を添えています。

...あれ?
花の季節感が...なんだか少々ごちゃ混ぜのような気が...?
箱根の山では、気温のせいなのでしょうか、
季節感がやや下界のそれとずれています。
今まで2月の花、3月の花、4月の代表的な花...と思っていた花たちが、
5月になると一気に、そして一緒に咲く。
「ホーホケキョっ♬」というウグイスの声にうっとりしていると、
そのバックには「カナカナカナ〜♬」というヒグラシのサウンドが入ったり。
先月のような4月の積雪や、真夏の蒔ストーブなど、
箱根山はいつでもサプライズを与える、そう、サービス精神を忘れません。

そんなアトリエに、今日1通の手紙が届きました。
運転免許証の更新時期が来たようです。
開けてみると、赤で記された文字が。
「あなたは優良運転者該当です。」
初めて耳にしたこの単語に、一瞬、目が点に。

...こ、これはっ!
優良運転者とはまさかっ?!
Welcome ゴールド免許さま〜っ! *\(^o^)/*

元々は、あのアバウトなイタリアでとった運転免許です。
学科はすべてイタリア語。
実技はフィレンツェ郊外の国道を、おしゃべりの止まらない教官と試験官の2人を乗せて走りました。
(詳しくは過去のブログリスト「ピンクの仮免」「運転免許とドーピング」「愛するイタリア」の項をご参照ください。)
特に追加の実技試験もないまま、
まんまと祖国である日本の免許に切り替え成功をして早や数年。
キチンと車庫入れも出来ないこの私が、
しかも「優良運転者」という単語すら知らなかったこの私が、
ゴールド免許を手にする日が来ようとは!
ステキな春の訪れを有り難うございます、みなさま。

2017年5月1日
高野倉さかえ

◀️前のエッセイへ︎︎
次のエッセイへ︎▶️️
エッセイの目次へ
(文章の転載はご遠慮ください)


Sakae Takanokura Official Web Site | Email: atelier@takanokura.com | ©2008-2022 by Sakae Takanokura. All rights reserved.