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Autumn Discoveries


ある日、山を降りると、
下界は思った以上の暖かな陽気に包まれ、あちこちに見知らぬ花々がチラチラ。
そして不思議な色合いの、カラフルな実のなる木を発見しました。
エメラルドグリーンにマリンブルーやターコイスブルー、
メキシカンセージのような赤紫もあれば、ライムの黄緑も。
それはまるで色鮮やかなビーズの集合体のようで、
ひとつの木にこれほどの色調が混在しているとは驚きでした。

夢中で写真を撮り、アトリエに戻って早速名前を検索です。
しかしキーボードを前に悩むこと数分。さて、なんと検索すればいいのでしょう?
まずは「秋」「カラフルな実のなる木」と入れてenterボタンを押すと、
う〜ん、やはり赤い実の画像が出てきてしまう。
そこで「青」「エメラルドグリーン」「紫」と色の種類を絞り、再検索ボタンでGO。
ようやくそれらしい画像が幾つか登場しました。

出てきたその名は「野葡萄」。初めて聞く名前です。
幼い頃、ヤマブドウでティッシュやハンカチを染めた思い出はありますが、
ノブドウという名は、恥ずかしながら聞いたことがありません。
調べてみると、その果実は決して美味しくはないものの
どうやら様々な効能があり、漢方薬やお茶、お酒などに入れて飲まれてもいるようです。
新発見になんだか心が躍ってしまい、次は「野葡萄」「色」などといれてさらに検索。
すると...この美しい色についての衝撃的な記述を発見し、愕然としました。
本来、この植物の果実は白や薄い緑が普通だそうで、
深い青や赤紫などの実は、中に虫の幼虫が寄生する関係で色が変わるのだとか。
えっ?!寄生果だったの?!
しかしさらに調査を続けていると、そこには様々な説、そして反対意見も。
調べれば調べるほど謎は深まるばかり。
色々な意味で、神秘的な植物の発見でした。

そして発見といえば、もうひとつ。
先日、午後のお絵描き教室が終了した後のことです。
お母さんと一緒に帰って行く子供たちをみていて、ふと、感動的な風景に出逢いました。
ちいさな2歳の男の子が、
日の短くなった夕暮れのお空に向かって、一生懸命に手を振っているではありませんか。
その瞳の先には、ポッカリと浮かぶ綺麗な三日月。
いつまでも、いつまでも、バイバイ、バイバイと手を振るその姿に、
昔の景色を思い出し、胸の奥がホッコリと暖かくなりました。
母と手を繋いで歩く、買い物帰りの散歩道。
繋いだその手を前後に楽しく振りながら口ずさむのは、懐かしいあの歌。
そして見上げる空の月に、あぁ、私も手を振ったなぁ。
忘れかけていた心の中の宝物を再発見。
ステキなことを思い出させてくれて、ありがとう。

2019年11月04日
空気にほんの少しだけ、冬のかけらがみえてきた...元箱根アトリエより。
高野倉さかえ

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