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About Time


新しい年が来て
新しい月が始まり
新しい毎日がまたやって来ます。
2020年の始まり。皆さま如何お過ごしでいらっしゃいますか?
カレンダーが新しくなるこの季節。
年が変わる瞬間は、
遠く離れた友人たちとのとめどないお喋りに大輪の花が咲きます。
長い年月を過ごしたイタリアと
祖国日本との時差はこの時期8時間。
新しい年を迎えた日本から送る言葉は、1月1日の日付。
でも受け取る側の皆はまだ、去年の12月31日にいます。
まるで未来から過去にメッセージを送るようだと、毎年笑い合うのも恒例となって来ました。

そんな不思議な思いがあるからか、
この時期が来るとよく「時間」について考えることがあります。
特に今年は、2020というとてもキリの良い数字。
そう、20sの始まりです。
HPの表紙のメッセージも「new decade」と新しく書き換えましょう。

Auguri di un meraviglioso inizio del nuovo decennio ricco di colori splendidi e gioiosi!
Warm wishes for a blessed beginning of a new decade filled with joyful, splendid and beautiful colors!

新しい10年の始まり〜beginning of a new decade。
そう書いた途端、素朴な疑問がひとつ脳裏をかすめました。
ん?そういえばこれって…「0」から始まっていいのかしら?
新しい10年は「0」の年から始まるのか、それとも「1」から始まるのか?
自分の頭の中には答えがみつからず、早速あちこち検索です。

すると意外にも、この疑問を抱く方は世界に大勢いらっしゃったようで
興味深い記事がたくさん、それはもうたくさんヒットしました。
そしてこのちいさな疑問が、意外にもなかなか難しい問題であることを実感させられたのでした。

そういえば20年前、
ミレニウム・バグという言葉が世間を賑わせた1999年の終わりにも、
同じ疑問がちらちらと浮かんでは消え、消えては浮かび...。
newミレニウムを祝うのは2000年になった瞬間なのか、
それとも1年後の2001年1月1日なのか?
でも皆が2000年で騒いでいるから、まぁそれでいいやと、
明確な答えの見つからないまま、とりあえず一緒にお祝いをしたことを覚えています。

実際に調べてみると、ここには2つの説があり、
この定義をどの分野の人と話すかによって答えが違ってくるそうです。

まず問題は、西暦のBC(紀元前)とAD(紀元後)の境目です。
記憶の遥か彼方に残る歴史の授業では
紀元前と起源後の間に「0」という年がなかったように思います。
1ADの前の年はいきなり1BC。そう、間に「0」がないのです。
そこから数えると西暦1年から1000年が最初のミレニウム。
次の1001年から2000年までが2番目のミレニウム。
あれ?
とすると2001年に祝わなければいけなかったのかしら??

それでも70年代80年代といった言い方は、やはり「0」から始まります。
「1」から始まるとすると、80年代は1981年からになってしまうので、
1980年は70sの最後の年ということになってしまいます。なんだかしっくりきません。
そういった一般的な10年間の分け方からすると、
やはりカテゴリー分けは最後尾一桁が「0」の年から「9」の年ということになりそうです。
だとしたらOK。今年は、beginning of a new decade です。

ただ天文台などのご意見では「1」から「0」でセットにするのが普通だとか。
なので今回のミレニウムも、多くの科学者たちに言わせると2001年からなのだそうです。
私は1年早く、3rd millenniumをお祝いをしてしまったことになりますね。

そして様々な説を持った方々がディベートする中、
どこでも最後の結論は同じ纏まり方をします。
どちらが間違いということではなく「何を基準にして数えるか」ということ。
「どっちでもいいよ、2回祝えばいいじゃないか」と、とりあえず乾杯です。(笑)

昔、誰かが「時間は幻想だ」と言っていましたが、
時間とは本当につかみどころのない、不思議な生き物ですね。

皆さま、2020年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年1月1日
爽やかな空の...元箱根アトリエより。
高野倉さかえ

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