Sakae Takanokura

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Nuvola blu-violette 紫の雲、虹の雲


ある日、ふと空を見上げた瞬間、釣鐘状の花が緑の葉の合間に咲いているのをみつけました。
空へと伸びる、大きな大きな木の上。
鮮やかにそしてふんわりと、まるで紫の雲が流れるように
ベルの花がたくさん風に揺れているのです。
一体地上何メートルなのでしょう?と思うような大きな木。
地面近くではなく、この目線の角度でようやく見えるほど高い木の上に
まさかカンパニュラやベルフラワーがある訳もないので
なんだかとてもびっくりしてしまいました。
そして美しい青紫色は木の上だけでなく
その周囲の地面をもまるで鮮やかなカーペットを敷いたように広がっています。

これは、まさかの世界三大花木のひとつ、ジャカランダではないでしょうか?!
南米原産の花木がここまで育つという事は、やはり伊豆の海辺はかなり温暖な気候になっているのでしょう。
山のアトリエではとてもこうはいきません。(笑)

ノウセンカズラ科のこの花。
鮮やかな濃いオレンジ色の花をつけるノウセンカズラよりも
花の形が細長いベル状になっているのがわかります。
南米のように乾燥した地では、どうやら花が終わってから葉っぱが出てくるという
まるで桜そっくりな咲き方をするようですが
日本ではそうはいきません。
湿気や雨が多いせいなのか、それとも気温が低過ぎるせいなのでしょうか
花の登場は、緑の葉が出てからようやくという順番が多いそうです。
その日みつけたものも、確かにその通り。
ですが緑の葉と青紫の花が相まって揺れる色彩のハーモニーは、ある意味格別でした。
華やかに咲き誇り、そしてその下にも幾千もの花々が溢れ落ち
周囲の地面をも幻想的に染めてゆくこの樹木。
その木の周りだけ不思議な明るさと風に包まれて、まるで違う世界のように見えてきます。

世界三大花木の残り2種の鳳凰木も火焔木も、この近辺ではとてもみられない花木。
ジャカランダもこの辺りでは温暖な伊豆半島でやっと育つ程度。
なかなか出会えない珍しい花色に触れる事ができ、心が躍りました。
どこから花芽がついているのだろう?
触れた瞬間にその葉を閉じてしまいそうな
このオジギソウにも似た葉っぱはどういう並びで生えているのかしら??
もしこのベルの中にホタルでも入ってくれたなら、さぞかし素敵なミニランタンになる事でしょう!
そんな取り留めのない想像に酔いしれながら、花の周りをくるくる、そしてまたくるくる。
まるで理科の観察日記をつける熱心な小学生のように、花の作りを観察しながら時間は過ぎてゆきます。

あぁ...それにしても楽しい!!

そして今回はこの出逢いのおかげで、初めてその和名も知る事ができました。
「紫雲木」。まさにイメージそのままの美しい名前です。
その花言葉は「栄光」「名誉」。
大きく空に向かって緑の葉と花々を広げるこのおおらかな樹木に、ぴったりの言葉でした。
世界三大花木の中で唯一、赤くない花をつけるジャカランダ。
その独特な青紫色の美しいベルは、まるで音楽を奏でるように梅雨の合間の空を彩ります。
緑が雨の雫に濡れるこの季節、山を降りて海辺へ向かったある日の出逢いでした。

2026年6月18日
緑と雫に包まれた、山のアトリエより。
髙野倉さかえ

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