□ヨウカン箱の桜
 街中に華やかな包装のチョコタマゴが並びだし、今年もまたイースターの季節、春本番がやって来ました。日本のように年度末や新学期が春にないこの国では、気持ちが新たに引き締まるでもなく、空が桜色の花びらに染まることもなく、なんとなくいつも物足りない感触。この時期になるとソメイヨシノを思い出し、軽いホームシック状態にかかるのももう毎年恒例の行事になってきました。そういえば昨年の春は個展で日本に一時帰国しており、桜の開花予想を見ながら「見られるかも?!」と期待しておりましたが、寒の戻りで予想以上に開花が伸び、結局桜を楽しむ事が出来ないままイタリアに帰国するハメに。旅立ちの前日、実家の近所に住む友人が1輪でも桜をと武蔵野近辺の様々な桜名所に連れて行ってくれましたが、ほとんどが蕾。夜中になってやっと数輪花が開き始めているところをみつけ、2人で喜んだ覚えがあります。もぎり取ってもらった小さな桜の小枝を羊羹の箱に入れ、イタリアまで隠し持って来た私。柔らかな花びらは飛行機での長旅に疲れながらも、その後しばらくアトリエを楽しませてくれました。小さな、素敵な想い出です。
 さてさて、今年もサマータイムに時刻が変更になったイタリアの春。一気に日が長くなり、19時になっても外は明るく、アトリエ周囲の緑もようやく少しずつ鮮やかになって来ました。野原は一面雛菊の白。ところどころに濃いピンクのレンゲソウやスミレの紫そして忘れな草に似た淡い水色のキュウリ草も見えます。ふと目を上げるとエニシダの黄色が陽光に眩しく…いい季節がやって参りました。野原では猫たちが伸びをし、トカゲも陽光を求めて日向ボッコ。街中では日光浴好きなイタリア人たちが春の陽を満喫している、そんな4月のピエモンテです。

2010年4月6日 春の嵐に風も舞うアトリエ窓より。高野倉さかえ

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